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【2026年最新】エンタメマーケ会社社長が注目したエンタメニュースまとめ

概要

このコラムでは、日々社内で議論しているエンタメマーケティング分野の最新トピックの中から、これからのエンタメビジネスを考える上で欠かせないニュースを厳選し、エンタメマーケティング企業の社長である久保の視点を交えてご紹介いたします。

(更新日:2026年9月15日)

2026年10月号

経産省レポートが示す、日本コンテンツの「海外売上取りこぼし」

経産省レポートに基づく、日本コンテンツ産業の海外売上6.1兆円から自己資本2.9兆円までの減少要因を示すウォーターフォールチャートと、権利侵害・情報の非対称性など6つの構造的課題の一覧
(引用:経済産業省「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」)

経産省が公表した100ページに及ぶ産業戦略レポートの中で、とりわけ衝撃的だったのが分野別の海外売上回収率です。ゲーム92.3%に対し、音楽35.9%、実写22.4%、マンガ8.0%、アニメに至っては5.5%という結果でした。

ゲームは日本企業自身が海外展開・プラットフォーム保有まで担っているのに対し、アニメやマンガは海外企業へのライセンス提供モデルに依存し続けてきたことが、この差を生んでいます。配信・販売プラットフォームを自社で持たず、マーケティングも現地任せという構造は、そろそろ本格的に見直す時期に来ています。

もう一つ当レポートで気になった論点はファイナンスです。日本の映像制作資金は製作委員会方式が主流で、参加企業の投資に依存する構造となっていますが、米国では借入・投資・政府補助を組み合わせて資金を調達するのが一般的です。海外でヒットを狙うには作品の大作化が避けられず、これまで以上に大きな資金調達力が求められます。

まず現実的な一歩として、金融機関からの借入活用を広げることが挙げられます。海外では映像コンテンツ制作への融資が当たり前に行われており、日本の金融機関にとっても新たな収益機会になり得るはずです。業界とファイナンスの両側からルール整備が進むことを期待したいところです。

「ピークアウト」報道の裏側―アニメ制作市場は供給制約の踊り場

国内アニメ制作市場の年別推移グラフ。2005年の1,328億円から右肩上がりに拡大し、2025年は4,065億8,600万円で過去最高を記録、2026年は前年比マイナスに転じる予測を示す折れ線・棒グラフ
(引用:Yahoo!ニュース)

2025年の国内アニメ制作市場は4,065億円と過去最高を記録した一方、2026年は5年ぶりの市場縮小になるとの見立てが報じられました。制作費の高騰と深刻な人手不足によって、これ以上制作本数を増やせないことがその背景です。

ただし、この「ピークアウト」を需要の減退と捉えるのは早計です。SNS上では、この10年でテレビアニメの総制作量(30分枠換算)が約6割も増加しているというデータをもとに、現状はむしろ供給サイドが限界に達している「踊り場」に過ぎないという分析が注目を集めました。

つまり課題は「作っても売れない」ことではなく、「作りたくても作れない」という供給制約にあります。この構造を正しく理解できれば、悲観視すべき局面ではありません。

今後は300社ある制作会社のM&Aによる規模拡大、AI導入による制作効率化、そしてIP保有による収益源の多様化を実現できるかどうかが、各社の明暗を分けることになるはずです。人手不足の解消をどこまでAIに委ねられるかは意見の割れやすいテーマですが、水面下では各社が着実に検討を進めており、この動向からは今後も目が離せません。

インフレ下でも最高益、国内テーマパーク業界が直面する成長の壁

国内遊園地・テーマパーク業界の2021年度から2025年度までの売上高・利益推移グラフ。売上高は5,328億円から10,931億円へ、利益は赤字から1,577億円へ回復・成長したことを示す
(引用:Yahoo!ニュース)

国内のテーマパーク関連122社の2025年度決算は、売上高1兆900億円、純利益1,577億円と過去最高を更新しました。しかしその成長率は売上高3.4%、利益3.0%にとどまり、急速に鈍化しています。

背景にあるのは明確で、インフレによるコスト増と、人気施設の稼働がすでに限界に近づいていることです。単価の引き上げだけでは、これ以上の売上成長を見込みにくい状況になっています。

内訳を見ると、業界全体の売上の6割、利益の8割以上をオリエンタルランド1社で稼いでいるという寡占構造も浮き彫りになりました(ただしUSJは集計対象外)。今後USJはエリア拡張を進める計画を発表する一方、オリエンタルランドはクルーズ事業など土地の制約がある舞浜以外での新たな収益源の開拓に動くなど、各社の戦略の差がより鮮明になっていきそうです。ただし、度重なる値上げによる来場者の高齢化・固定化は、中長期的な懸念材料として注視する必要があります。

世界最大のキャラクターグッズ小売に成長したMINISOに見る、IPビジネスの新たな攻め方

国内遊園地・テーマパーク業界の2021年度から2025年度までの売上高・利益推移グラフ。売上高は5,328億円から10,931億円へ、利益は赤字から1,577億円へ回復・成長したことを示す
(引用:Yahoo!ニュース)

中国発の雑貨チェーン・MINISOが、キャラクターグッズ販売において世界最大の小売企業へと成長しました。2026年上半期の売上高は前年同期比22.4%増の約2,600億円に達しています。

かつては他ブランドを模倣した店舗展開で知られていましたが、現在はディズニーやサンリオをはじめとする世界的IPに加え、日本の人気キャラクターの独自商品も全世界で販売しています。日本国内での存在感は大きくないものの、全世界8,000店以上という圧倒的な店舗網が強みです。

利益面では苦戦している様子も伺えますが、IPを軸にした大量店舗展開によって世界中にファンとの接点を作り出しているという事実は、ジャパンIPの海外展開を考える上で見逃せません。現地での正規流通網をどう構築するかという課題に対し、MINISOのような小売パートナーとの協業も、有効な選択肢の一つになり得るはずです。

2026年9月号

「消される広告」から「見たくなるコンテンツ」へ―Web広告ヒートマップに見るエンタメマーケティングの真価

(引用:togetter)

SNSで話題になった「Web広告が表示された時の視線ヒートマップ」。ユーザーが広告の中身には一切目を向けず、ただ「いかに早く閉じる(×ボタンを押すか)」だけに視線が集中しているという、広告業界にとっては耳の痛いリアルな反応が可視化されました。

一部のWebメディアの苦境を背景に、ユーザーの錯誤を誘うような悪辣な手法が横行している現状がありますが、こうしたユーザー体験を損なうやり口はアドフラウドと大差なく、まともなビジネスとは言えません。ブランド毀損でしかない広告にお金を払い続ける広告主と、ユーザーから嫌われる手法を編み出してしまう広告会社。私たちはそのいずれにも安易に与してはいけないという、強い危機感を持つべき出来事です。

だからこそ、いまプロモーションに求められているのは「エンターテインメントの力」です。ノイズになるのではなく、ユーザーが「見たい」「体験したい」と思わせるようなコンテンツへと広告を昇華させること。エンタメ性を伴った良質なコミュニケーションこそが、これからのデジタルマーケティングの必然になっていくはずです。

「完全AI制作」の落とし穴―ショートドラマのENG70%減に学ぶ、クリエイティブの本質

(引用:MEDIAMIXI)

Netflix CEOのテッド・サランドス氏がインタビューで明かしたところによると、中国のショートドラマ大手が制作を完全にAIへと切り替えたところ、視聴者のエンゲージメントレートが70%も激減したとのことです。

短尺映像におけるAI制作は劇的なコストダウンが見込めるため導入が進んでいますが、人間の心を動かすコンテンツとしてはまだ課題が多く残っています。もちろん、Netflix側の「脚本や演出、演技といった中心分野では人間を尊重する」という自社方針を誇示するポジショントークである点には注意が必要ですが、マーケティング視点として非常に示唆に富んでいる事例です。

AIは周辺領域や課題解決において威力を発揮しますが、感情を揺さぶる「物語」や「演出」を生み出し、クオリティを見極めるのは人間の役割です。映像制作においては、プリプロ・ポスプロ等の周辺作業をAIで効率化しつつ、核となる脚本・演出の審美眼を極めたクリエイターがAIを武器として使いこなす。このバランスと使い分けが、AI時代の制作・プロモーションの競争力を左右すると考えます。

東映アニメに見る、単なるアニメ制作にとどまらない「IPプロデュース」の力

(引用:Yahoo!ニュース)

東映アニメーションの第1四半期決算が発表され、売上高220億円、営業利益75億円という驚異的な業績が明らかになりました。営業利益率34%という数字は、他社が10%前後で推移することも多いアニメ業界において圧倒的な水準です。

この高収益を支えているのは、ビッグタイトルの制作を「受託」ではなく「製作委員会メンバー」として自ら取り組んでいる点です。中でも営業利益率50%を超える版権事業(商品化窓口などのライセンスビジネス)が最大の牽引力となっています。また、東映動画時代から続く、徹底した工程管理によるコストコントロールの社風も、クリエイティブとビジネスを両立させる上で極めて重要な要素です。

5年後に売上高2,000億円という高い目標を掲げ、海外展開やM&Aへの積極投資も予定している同社。協業先としても非常に心強い日本のアニメ産業の中心的プレーヤーであり、IPの価値を中長期で最大化させるプロデュース戦略は、多くの企業にとって大きな学びとなります。

データで見る「ジャパンIP」の海外熱狂とグローバル展開の伸び代

(引用:mercari)

東映アニメーションのニュースにも通じますが、日本のIPが海外でどれほどの熱量を持って受け入れられているかを示す興味深いデータが発表されました。メルカリの越境EC流通総額は年間1,100億円以上(過去4年で19倍)に成長しており、そのうち過半数の約57%をアニメやゲームなどの「ポップカルチャー」カテゴリーが占めています。

越境ECがこれほど成長しているということは、「現地では同じものがきちんと流通していない」ことの裏返しに他なりません。日本の限定品や高品質なグッズを、高い輸送コストを払ってでも手に入れたいという海外ファンの需要は非常に底堅いものがあります。

現地での正規流通を拡大し、マーチャンダイジングを含めた丁寧なグローバルマーケティングを展開できれば、海外市場にはまだまだ未開拓の巨大なチャンスが眠っているということです。強力なジャパンIPをいかに国境を越えて広げていくか、プロモーションを担う企業としての役割もますます大きくなっていきそうです。

2026年8月号

日本アニメの海外展開を加速させるか?新B2Bプラットフォームの登場と今後の課題

引用:Yahoo!ニュース

Crunchyrollの創業メンバーが、グローバルアニメ業界向けに特化した初のB2Bマーケットプレイス「AniBiz.com」を発表し、日本のアニメ大手が軒並み参画するというニュースがありました。

先日私が参加したAnime Expo 2026でもこの件は話題に上っていましたが、現場のリアルな声として多かったのは「プラットフォームが整備されるだけでは、IPの活用は進まないのではないか」という指摘でした(Anime Expo 2026の様子はこちら)。

海外展開においては、現地ライセンシーの開拓や交渉、販売テスト(PoC)、リサーチなど、多岐にわたる泥臭い業務が発生します。ここを丁寧に行わなければ、結局は海外企業に権利を安く渡して終わってしまうという従来の構造から抜け出せません。

とはいえ、ライセンスビジネスの活性化に向けた動きが業界全体で加速しているのは間違いなく、大いに歓迎すべきトレンドです。フラッグとしてもこの分野で新たな取り組みを構想している最中であり、日本のIPを世界に届けるためのインフラ作りをさらに推進していきたいと考えています。

アイドルグループの相次ぐ解散から紐解く、エンタメ興行の難しさ

引用:ダイスケ@考察勢

最近、会場規模が頭打ちになった中堅アイドルグループが次々と解散を選択していることに関するSNS上の考察が話題を集めていました。

エンタメ興行において、プロモーションは決して簡単ではありません。ある程度商業ベースに乗った後でも、会場(箱)のサイズ設定を一つ間違えるだけで大きな痛手となるのが興行ビジネスのシビアな現実です。また、現代はSNSで一時的なバズが生まれても、それが実際のライブ動員(=熱狂的なファンの獲得)に直結しないケースが多々あります。

新規ファンを獲得できずに緩やかな死を迎えるより、スパッと活動を終える選択をするグループが増えているのは、ある種の時代性や美学の変化とも言えます。SNSの数字だけを追うのではなく、いかにして「リアルな場にお金を払って足を運んでくれるロイヤルファン」を育成するか。エンタメマーケティングにおける永遠の課題を改めて突きつけられる事象です。

過去最高益を更新するブックオフに学ぶ、多角化戦略と「ついで買い」のメカニズム

引用:Yahoo!ニュース

ブックオフの売上高・利益が過去最高を更新して好調に推移していますが、その中身を見ると、もはや単なる「古本屋」から大きく業態を変化させていることがわかります。

現在の稼ぎ頭は、コロナ禍で一気に店舗改装を進めたトレーディングカードの買取・販売です。さらに、フランチャイズで展開する不用品回収(高齢化に伴う生前・遺品整理など)や、アニメ・オタ活グッズの販売も大きく伸びており、ロサンゼルスの大型店はまるで「まんだらけ」のような品揃えになっていました。

マーケティング視点で非常に面白いのは、こうした事業の多角化によって新たな来店動機を作り出した結果、主力であったはずの「古本のついで買い」が誘発され、古本の売り上げも伸びているという点です。既存のブランドイメージに囚われず、機を見るに敏な商品展開で顧客との接点を増やした見事な戦略だと言えます。

「ウィンドウ」議論から抜け出せない米映画興行界に見る、顧客視点の重要性

引用:Yahoo!ニュース

アメリカの映画興行収入がコロナ前の水準に戻りきらず苦戦を強いられている中、現地ではいまだに「劇場公開から配信までの期間(ウィンドウ)の短さ」が客離れの原因だと議論されています。

確かに、ウィンドウが短ければ観客は配信に流れてしまいますが、映画会社としては自社の配信サービスも強化したいというジレンマがあります。しかし、コロナ禍から数年が経過した今になっても、業界全体で「いかにウィンドウを長くするか」という話に終始している状況には強い違和感を覚えます。

本来議論すべきなのは、「観客がどんな作品を求めているのか」「劇場だからこそ提供できる付加価値は何か」「どうすれば継続して足を運んでもらえるか」という顧客視点のマーケティング戦略です。プラットフォームの都合や業界の構造議論に終始し、顧客の求めているエンタメ体験から目を背けてしまうことの危うさを、このニュースは教えてくれています。

2026年7月号

カプコンの販売データから見える、これからのゲームビジネスの収益構造

引用:gamebiz

カプコンが発表した2026年3月期のゲーム販売状況には、ゲームやIPビジネスに関わる上で非常に参考になるデータが含まれていました。特に注目したいのが、以下の3つの比率です。

  • ダウンロード販売の割合: 93%(パッケージは7%)
  • 新作と旧作の比率: 新作16%に対して、過去作(カタログタイトル)が84%
  • 国内と海外の比率: 海外が90%(国内は10%)

現在のゲーム業界では、ダウンロード販売への移行が進んだことで、「過去に発売した作品が世界中で長期間売れ続ける」というリピート販売の市場が大きく広がっています。

過去作は制作コストの回収が終わっているため、セールなどで価格を下げて販売しても、メーカーにとっては非常に利益率の高いビジネスになります。お金に余裕のない若い層やライトユーザーにまずは過去作を手に取ってもらい、そこからファンになってもらって新作へ誘導するという流れは、今後のグローバルIP展開における重要なマーケティング施策になると考えています。

数字で見る日本アニメの海外での広がりと、二次利用市場の可能性

引用:Yahoo!ニュース

日本のアニメが海外で広く受け入れられている状況を示すデータが、最近いくつか続けて公開されました。

世界向けのアニメ配信プラットフォーム『Crunchyroll』が開催したアワード2026では、投票総数が過去最多の7,300万票(前年比43%増)に達し、ブラジルやインド、メキシコなどで非常に強い熱量を持って迎えられていることが分かります。また、米国では人口の22%がアニメを視聴しているという報告や、インドでも若者を中心にスマホでのアニメ視聴が95%を超えているという調査結果も出ています。

ここで特に注目すべきなのは、「世界のアニメ視聴者の65%が、この1年以内にアニメ関連のグッズやイベントなどにお金を使っている」という点です。

他の映像ジャンルと比較しても、視聴がこれほど直接的にグッズ購入などの消費行動に結びつくコンテンツは珍しいと言えます。だからこそ、海外展開においては単に配信や放送の権利を売るだけでなく、現地でいかにグッズ展開(マーチャンダイジング)をしっかりと行えるかが重要になってきます。

総合商社のIP事業参入と、私たちが提供すべき価値

引用:BUSINESS INSIDER

最近、総合商社がIP(知的財産)分野で活発に動いています。例えば、伊藤忠商事がIP関連事業をまとめた子会社「アイライツポート」を立ち上げ、アニメ「チ。」への出資や、人気クリエイターのIPを用いたマーチャンダイジング・海外展開などを手がけているほか、他の大手商社もこの分野に力を入れています。

グローバルでのビジネス展開は、コミュニケーションコストが非常に高く、多くの企業が単独で進めるにはハードルが高いのが実情です。動画配信プラットフォーム(OTT)が世界的に普及した現代であっても、現地でのライセンシー発掘や市場リサーチ、日々のマーケティングといった地道な取り組みは欠かせません。商社が果たす役割は、こうした海外展開におけるビジネスインフラの提供であり、自社の既存ネットワークを活かせるという狙いがあると考えられます。

しかし、これまでの大規模な工業製品とは異なり、IPには特有の商品特性があります。そのため、従来の商社の仕組みやアドバンテージがそのまま通用するとは限りません。

この海外展開を支える領域は、私たちの今後の成長戦略における重要な柱の一つです。IPの特性や現地マーケットを深く理解し、作品への愛情を持った人材を世界中で募りながら、大きな価値をクライアントの皆様に提供できるよう、地道な努力と研鑽を積み重ねていきたいと考えています。

GoogleとA24の提携から考える、映画制作におけるAIとの付き合い方

引用:CNET Japan

独自性の高い作品で世界中にファンを持つ映画制作会社『A24』が、Google DeepMindと提携し、映画制作におけるAIツールの開発と活用を進めるというニュースがありました。まずは制作準備段階での絵コンテ作成などから実験を始めていくようです。

ハリウッドなどでは、AIに対して「人間の仕事を奪うもの」として反発する動きも根強くあります。しかし、コストを抑えつつ品質を高められるテクノロジーの流れを完全に止めることは、これまでの歴史を見ても難しいのが現実です。

クリエイティブに強いこだわりを持つA24のようなスタジオが、むしろ積極的にAIを活用しようとしている姿勢は、私たちにとっても大いに参考になります。AIの進化によって、将来的には映画やアニメを制作する現場の人数は減っていくかもしれませんが、だからこそ、そこで生き残ったクリエイター1人あたりが生み出す価値や市場価値は、今よりも高くなるはずです。変化を拒むのではなく、迅速にAIを取り入れ、活用できる側になれるよう、私たちも積極的に取り組んでいきます。

2026年6月号

バンダイ「ランダム販売取りやめ」に見る消費者インサイト

引用:Yahoo!ニュース

バンダイが一部商品で予定していた「ランダム仕様」での販売を取りやめ、通常販売に切り替えると発表しました。

昨今、ランダムグッズ(いわゆるブラインド販売)は一種のブームになっていましたが、「9割の消費者がランダム商品を嫌っている」という調査結果が出るなど、ユーザーの間にはヘイトが溜まりつつありました。欲しいものにたどり着くまでのコストや射幸心を煽る仕組みに対し、消費者の疲弊が限界に達していたのだと思います。

短期的な売上だけでなく、中長期的なブランドへの信頼やファンとのエンゲージメントを優先した今回の判断は、エンタメマーケティングに携わる我々にとっても非常に学びの多い事例だと感じました。

Netflixのアニメ戦略から見えてくる「グローバルIPビジネス」の次なる一手

引用:アニメ!アニメ!

Netflixのアニメ戦略に関するインタビュー記事からも、エンタメマーケティングの最前線が見えてきました。特に興味深かったポイントは以下の2点です。

ライト層でも「字幕&日本人声優」が受け入れられている

アニメコア層が多いCrunchyrollでは半数が字幕視聴とのことですが、ライト層が多いNetflixでも実は1〜2割が字幕で視聴しているそうです。これはつまり、海外プロモーションにおいて「日本人の人気声優を起用したマーケティング」が、コア層だけでなくより広い層にも十分に通用する(=武器になる)ことを意味しています。

「マーチャンダイジング(グッズ化)」への本格参入

今後Netflixは、配信だけでなくグローバルでのマーチャンダイジングにも本格的に取り組む意向を示しています。IPホルダーから権利をお預かりするためには、「Netflixと組めばグローバルでグッズも売れる」という明確な成功事例を作らなければなりません。

今後は配信プラットフォーム側も、事例作りのためにかなりのマーケティングコストを投下してくることが予想されます。ここに国内の有力スタジオがどう絡んでいくのか、今後のグローバル展開が非常に楽しみになる動向です。

ハリウッドの映画予告編会社が事業をたたんだのはAIが理由?

引用:Yahoo!ニュース

3つ目は映像制作の現場から。米国の老舗映画予告編制作会社が事業を撤退するというニュースがありました。

「ついにAIの波に飲まれたか?」と思いきや、真相は「社長が辞めて競合会社を立ち上げ、仕事をかっさらっていった」という非常に人間臭く、悲しい理由でした。しかし、だからといって業界が安泰なわけではありません。数年のうちに「AI化の波」が予告編業界に確実に訪れることは間違いありません。

今後この業界が生き残る術を考えると、現時点では「徹底してAIを積極的に活用し、コストと価格を極限まで下げて残存者利益を得る(競合が撤退するのを待つ)」というような、いわゆる焦土作戦的なアプローチが有力になってくる気もしています。

日本の予告編制作業界においても、これから生き残りをかけた熾烈なシェア争い、いわば「仁義なき戦い」が起きることは想像に難くありません。AIという破壊的イノベーションを前に、エンタメ制作の現場がどう適応していくべきか、深く考えさせられるトピックでした。

東映の決算発表から読み解く、アニメ事業の圧倒的スケールとフラッグの使命

引用:東映株式会社 2026年3月期決算説明会

5月に発表された東映の26年3月期決算。増収増益の素晴らしい業績でしたが、個人的に注目したのはその「事業構造におけるアニメーションの存在感」です。

東映の映像事業売上の約7割がアニメであり、連結決算においても東映アニメーションが売上の50%、営業利益の80%以上を占めている状況です。日本のエンタメ産業において、アニメがいかに巨大なグローバルビジネスになっているかを如実に物語る数字です。

そして非常に身の引き締まる思いだったのが、今回の決算説明会にて、吉村社長からデジタルマーケティングの重要性を語る文脈の中で「フラッグとの提携」について直接言及いただいたことです。

これだけ巨大化するアニメ・映像ビジネスにおいて、デジタルマーケティングが担う役割はますます重要になっています。日本の素晴らしいIPを世界中のファンにどう届けていくか。我々フラッグに対する期待の大きさを改めて実感し、パートナーとしてその責務を全力で全うしなければと強く感じたニュースでした。

さいごに

日々発信されているニュースへアンテナを広げてみると、至るところにエンタメマーケティングのヒントが転がっています。

フラッグとしても、世の中の変化や最新のテクノロジーを常にキャッチアップし、クライアントの皆様にとって「最強のマーケティングパートナー」であり続けられるよう、日々アップデートしていきたいと思います。

久保 浩章

1979年生まれ、東京大学経済学部卒業。
在学中の2001年に合資会社フラッグを創業、2004年1月に株式会社化し代表取締役を務める。
映画やアニメ、ゲームなどエンタメ業界のマーケティングを中心に、IPコンテンツの企画開発も手がける。

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