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【2026年最新】エンタメマーケ会社社長が注目したエンタメニュースまとめ

概要

このコラムでは、日々社内で議論しているエンタメマーケティング分野の最新トピックの中から、これからのエンタメビジネスを考える上で欠かせないニュースを厳選し、エンタメマーケティング企業の社長である久保の視点を交えてご紹介いたします。

(更新日:2026年7月21日)

2026年7月トピック

日本アニメの海外展開を加速させるか?新B2Bプラットフォームの登場と今後の課題

引用:Yahoo!ニュース

Crunchyrollの創業メンバーが、グローバルアニメ業界向けに特化した初のB2Bマーケットプレイス「AniBiz.com」を発表し、日本のアニメ大手が軒並み参画するというニュースがありました。

先日私が参加したAnime Expo 2026でもこの件は話題に上っていましたが、現場のリアルな声として多かったのは「プラットフォームが整備されるだけでは、IPの活用は進まないのではないか」という指摘でした(Anime Expo 2026の様子はこちら)。

海外展開においては、現地ライセンシーの開拓や交渉、販売テスト(PoC)、リサーチなど、多岐にわたる泥臭い業務が発生します。ここを丁寧に行わなければ、結局は海外企業に権利を安く渡して終わってしまうという従来の構造から抜け出せません。

とはいえ、ライセンスビジネスの活性化に向けた動きが業界全体で加速しているのは間違いなく、大いに歓迎すべきトレンドです。フラッグとしてもこの分野で新たな取り組みを構想している最中であり、日本のIPを世界に届けるためのインフラ作りをさらに推進していきたいと考えています。

アイドルグループの相次ぐ解散から紐解く、エンタメ興行の難しさ

引用:ダイスケ@考察勢

最近、会場規模が頭打ちになった中堅アイドルグループが次々と解散を選択していることに関するSNS上の考察が話題を集めていました。

エンタメ興行において、プロモーションは決して簡単ではありません。ある程度商業ベースに乗った後でも、会場(箱)のサイズ設定を一つ間違えるだけで大きな痛手となるのが興行ビジネスのシビアな現実です。また、現代はSNSで一時的なバズが生まれても、それが実際のライブ動員(=熱狂的なファンの獲得)に直結しないケースが多々あります。

新規ファンを獲得できずに緩やかな死を迎えるより、スパッと活動を終える選択をするグループが増えているのは、ある種の時代性や美学の変化とも言えます。SNSの数字だけを追うのではなく、いかにして「リアルな場にお金を払って足を運んでくれるロイヤルファン」を育成するか。エンタメマーケティングにおける永遠の課題を改めて突きつけられる事象です。

過去最高益を更新するブックオフに学ぶ、多角化戦略と「ついで買い」のメカニズム

引用:Yahoo!ニュース

ブックオフの売上高・利益が過去最高を更新して好調に推移していますが、その中身を見ると、もはや単なる「古本屋」から大きく業態を変化させていることがわかります。

現在の稼ぎ頭は、コロナ禍で一気に店舗改装を進めたトレーディングカードの買取・販売です。さらに、フランチャイズで展開する不用品回収(高齢化に伴う生前・遺品整理など)や、アニメ・オタ活グッズの販売も大きく伸びており、ロサンゼルスの大型店はまるで「まんだらけ」のような品揃えになっていました。

マーケティング視点で非常に面白いのは、こうした事業の多角化によって新たな来店動機を作り出した結果、主力であったはずの「古本のついで買い」が誘発され、古本の売り上げも伸びているという点です。既存のブランドイメージに囚われず、機を見るに敏な商品展開で顧客との接点を増やした見事な戦略だと言えます。

「ウィンドウ」議論から抜け出せない米映画興行界に見る、顧客視点の重要性

引用:Yahoo!ニュース

アメリカの映画興行収入がコロナ前の水準に戻りきらず苦戦を強いられている中、現地ではいまだに「劇場公開から配信までの期間(ウィンドウ)の短さ」が客離れの原因だと議論されています。

確かに、ウィンドウが短ければ観客は配信に流れてしまいますが、映画会社としては自社の配信サービスも強化したいというジレンマがあります。しかし、コロナ禍から数年が経過した今になっても、業界全体で「いかにウィンドウを長くするか」という話に終始している状況には強い違和感を覚えます。

本来議論すべきなのは、「観客がどんな作品を求めているのか」「劇場だからこそ提供できる付加価値は何か」「どうすれば継続して足を運んでもらえるか」という顧客視点のマーケティング戦略です。プラットフォームの都合や業界の構造議論に終始し、顧客の求めているエンタメ体験から目を背けてしまうことの危うさを、このニュースは教えてくれています。

2026年6月トピック

カプコンの販売データから見える、これからのゲームビジネスの収益構造

引用:gamebiz

カプコンが発表した2026年3月期のゲーム販売状況には、ゲームやIPビジネスに関わる上で非常に参考になるデータが含まれていました。特に注目したいのが、以下の3つの比率です。

  • ダウンロード販売の割合: 93%(パッケージは7%)
  • 新作と旧作の比率: 新作16%に対して、過去作(カタログタイトル)が84%
  • 国内と海外の比率: 海外が90%(国内は10%)

現在のゲーム業界では、ダウンロード販売への移行が進んだことで、「過去に発売した作品が世界中で長期間売れ続ける」というリピート販売の市場が大きく広がっています。

過去作は制作コストの回収が終わっているため、セールなどで価格を下げて販売しても、メーカーにとっては非常に利益率の高いビジネスになります。お金に余裕のない若い層やライトユーザーにまずは過去作を手に取ってもらい、そこからファンになってもらって新作へ誘導するという流れは、今後のグローバルIP展開における重要なマーケティング施策になると考えています。

数字で見る日本アニメの海外での広がりと、二次利用市場の可能性

引用:Yahoo!ニュース

日本のアニメが海外で広く受け入れられている状況を示すデータが、最近いくつか続けて公開されました。

世界向けのアニメ配信プラットフォーム『Crunchyroll』が開催したアワード2026では、投票総数が過去最多の7,300万票(前年比43%増)に達し、ブラジルやインド、メキシコなどで非常に強い熱量を持って迎えられていることが分かります。また、米国では人口の22%がアニメを視聴しているという報告や、インドでも若者を中心にスマホでのアニメ視聴が95%を超えているという調査結果も出ています。

ここで特に注目すべきなのは、「世界のアニメ視聴者の65%が、この1年以内にアニメ関連のグッズやイベントなどにお金を使っている」という点です。

他の映像ジャンルと比較しても、視聴がこれほど直接的にグッズ購入などの消費行動に結びつくコンテンツは珍しいと言えます。だからこそ、海外展開においては単に配信や放送の権利を売るだけでなく、現地でいかにグッズ展開(マーチャンダイジング)をしっかりと行えるかが重要になってきます。

総合商社のIP事業参入と、私たちが提供すべき価値

引用:BUSINESS INSIDER

最近、総合商社がIP(知的財産)分野で活発に動いています。例えば、伊藤忠商事がIP関連事業をまとめた子会社「アイライツポート」を立ち上げ、アニメ「チ。」への出資や、人気クリエイターのIPを用いたマーチャンダイジング・海外展開などを手がけているほか、他の大手商社もこの分野に力を入れています。

グローバルでのビジネス展開は、コミュニケーションコストが非常に高く、多くの企業が単独で進めるにはハードルが高いのが実情です。動画配信プラットフォーム(OTT)が世界的に普及した現代であっても、現地でのライセンシー発掘や市場リサーチ、日々のマーケティングといった地道な取り組みは欠かせません。商社が果たす役割は、こうした海外展開におけるビジネスインフラの提供であり、自社の既存ネットワークを活かせるという狙いがあると考えられます。

しかし、これまでの大規模な工業製品とは異なり、IPには特有の商品特性があります。そのため、従来の商社の仕組みやアドバンテージがそのまま通用するとは限りません。

この海外展開を支える領域は、私たちの今後の成長戦略における重要な柱の一つです。IPの特性や現地マーケットを深く理解し、作品への愛情を持った人材を世界中で募りながら、大きな価値をクライアントの皆様に提供できるよう、地道な努力と研鑽を積み重ねていきたいと考えています。

GoogleとA24の提携から考える、映画制作におけるAIとの付き合い方

引用:CNET Japan

独自性の高い作品で世界中にファンを持つ映画制作会社『A24』が、Google DeepMindと提携し、映画制作におけるAIツールの開発と活用を進めるというニュースがありました。まずは制作準備段階での絵コンテ作成などから実験を始めていくようです。

ハリウッドなどでは、AIに対して「人間の仕事を奪うもの」として反発する動きも根強くあります。しかし、コストを抑えつつ品質を高められるテクノロジーの流れを完全に止めることは、これまでの歴史を見ても難しいのが現実です。

クリエイティブに強いこだわりを持つA24のようなスタジオが、むしろ積極的にAIを活用しようとしている姿勢は、私たちにとっても大いに参考になります。AIの進化によって、将来的には映画やアニメを制作する現場の人数は減っていくかもしれませんが、だからこそ、そこで生き残ったクリエイター1人あたりが生み出す価値や市場価値は、今よりも高くなるはずです。変化を拒むのではなく、迅速にAIを取り入れ、活用できる側になれるよう、私たちも積極的に取り組んでいきます。

2026年5月トピック

バンダイ「ランダム販売取りやめ」に見る消費者インサイト

引用:Yahoo!ニュース

バンダイが一部商品で予定していた「ランダム仕様」での販売を取りやめ、通常販売に切り替えると発表しました。

昨今、ランダムグッズ(いわゆるブラインド販売)は一種のブームになっていましたが、「9割の消費者がランダム商品を嫌っている」という調査結果が出るなど、ユーザーの間にはヘイトが溜まりつつありました。欲しいものにたどり着くまでのコストや射幸心を煽る仕組みに対し、消費者の疲弊が限界に達していたのだと思います。

短期的な売上だけでなく、中長期的なブランドへの信頼やファンとのエンゲージメントを優先した今回の判断は、エンタメマーケティングに携わる我々にとっても非常に学びの多い事例だと感じました。

Netflixのアニメ戦略から見えてくる「グローバルIPビジネス」の次なる一手

引用:アニメ!アニメ!

Netflixのアニメ戦略に関するインタビュー記事からも、エンタメマーケティングの最前線が見えてきました。特に興味深かったポイントは以下の2点です。

ライト層でも「字幕&日本人声優」が受け入れられている

アニメコア層が多いCrunchyrollでは半数が字幕視聴とのことですが、ライト層が多いNetflixでも実は1〜2割が字幕で視聴しているそうです。これはつまり、海外プロモーションにおいて「日本人の人気声優を起用したマーケティング」が、コア層だけでなくより広い層にも十分に通用する(=武器になる)ことを意味しています。

「マーチャンダイジング(グッズ化)」への本格参入

今後Netflixは、配信だけでなくグローバルでのマーチャンダイジングにも本格的に取り組む意向を示しています。IPホルダーから権利をお預かりするためには、「Netflixと組めばグローバルでグッズも売れる」という明確な成功事例を作らなければなりません。

今後は配信プラットフォーム側も、事例作りのためにかなりのマーケティングコストを投下してくることが予想されます。ここに国内の有力スタジオがどう絡んでいくのか、今後のグローバル展開が非常に楽しみになる動向です。

ハリウッドの映画予告編会社が事業をたたんだのはAIが理由?

引用:Yahoo!ニュース

3つ目は映像制作の現場から。米国の老舗映画予告編制作会社が事業を撤退するというニュースがありました。

「ついにAIの波に飲まれたか?」と思いきや、真相は「社長が辞めて競合会社を立ち上げ、仕事をかっさらっていった」という非常に人間臭く、悲しい理由でした。しかし、だからといって業界が安泰なわけではありません。数年のうちに「AI化の波」が予告編業界に確実に訪れることは間違いありません。

今後この業界が生き残る術を考えると、現時点では「徹底してAIを積極的に活用し、コストと価格を極限まで下げて残存者利益を得る(競合が撤退するのを待つ)」というような、いわゆる焦土作戦的なアプローチが有力になってくる気もしています。

日本の予告編制作業界においても、これから生き残りをかけた熾烈なシェア争い、いわば「仁義なき戦い」が起きることは想像に難くありません。AIという破壊的イノベーションを前に、エンタメ制作の現場がどう適応していくべきか、深く考えさせられるトピックでした。

東映の決算発表から読み解く、アニメ事業の圧倒的スケールとフラッグの使命

引用:東映株式会社 2026年3月期決算説明会

5月に発表された東映の26年3月期決算。増収増益の素晴らしい業績でしたが、個人的に注目したのはその「事業構造におけるアニメーションの存在感」です。

東映の映像事業売上の約7割がアニメであり、連結決算においても東映アニメーションが売上の50%、営業利益の80%以上を占めている状況です。日本のエンタメ産業において、アニメがいかに巨大なグローバルビジネスになっているかを如実に物語る数字です。

そして非常に身の引き締まる思いだったのが、今回の決算説明会にて、吉村社長からデジタルマーケティングの重要性を語る文脈の中で「フラッグとの提携」について直接言及いただいたことです。

これだけ巨大化するアニメ・映像ビジネスにおいて、デジタルマーケティングが担う役割はますます重要になっています。日本の素晴らしいIPを世界中のファンにどう届けていくか。我々フラッグに対する期待の大きさを改めて実感し、パートナーとしてその責務を全力で全うしなければと強く感じたニュースでした。

さいごに

日々発信されているニュースへアンテナを広げてみると、至るところにエンタメマーケティングのヒントが転がっています。

フラッグとしても、世の中の変化や最新のテクノロジーを常にキャッチアップし、クライアントの皆様にとって「最強のマーケティングパートナー」であり続けられるよう、日々アップデートしていきたいと思います。

 

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久保 浩章

1979年生まれ、東京大学経済学部卒業。
在学中の2001年に合資会社フラッグを創業、2004年1月に株式会社化し代表取締役を務める。
映画やアニメ、ゲームなどエンタメ業界のマーケティングを中心に、IPコンテンツの企画開発も手がける。

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