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広告飽和時代に求められる「パブリシティ」の力:オンライン×オフラインで「情報の循環」を生み出すオールメディア戦略

概要
デジタル広告の飽和と消費者の「広告回避」が進み、広告の大量投下でかえってブランド毀損まで起きてしまう現代。マーケターが今、改めて注目すべきは「メディアという第三者の文脈で情報を届ける」パブリシティの力です。
本コラムでは、18年以上にわたり映画宣伝でPRを指揮してきた執行役員の視点から、パブリシティの価値と、今の時代に求められる「情報の循環」の作り方、そしてフラッグがデジタルに特化したプロモーションから「オールメディア体制」に切り替えた理由について解説します。
目次
- はじめに:「パブリシティ」の本質
- そもそも「パブリシティ」とは何か?
- 広告枠の購入ではなく「信頼」を勝ち取る
- パブリシティの圧倒的な費用対効果
- オフライン×オンラインで循環させる重要性
- 「オールメディア体制」に舵を切った背景
- さいごに:AIに置き換えられない価値
はじめに:「パブリシティ」の本質
そもそも「パブリシティ」とは何か?

「パブリシティ」とは、「メディアという第三者の力を借りて、情報を『客観的なニュース』として世の中に届ける」宣伝手法です。
広告が「クライアントがお金を出して枠を買い、自分たちの伝えたいことを発信する」ものであるのに対し、パブリシティは「メディアにその価値を認められ、彼らの文脈で語ってもらう」ものです。
広告枠の購入ではなく「信頼」を勝ち取る
映画・エンタメ業界では広告よりもパブリシティが宣伝の軸となり重要視されてきました。それは、パブリシティが単なる露出の獲得ではなく、消費者からの「信頼」を勝ち取り、「広いタッチポイント」を作り、「深い理解」を与えられる手法だからです。
マーケティングがどれだけ進化しても、「自分が信頼している媒体・人から情報を得たい」という人間の心理は変わりません。PR担当者が作品や商品の魅力を説得力と熱量をもってメディアに語り、メディアがそれを「いま、届けるべき価値のあるニュース」として報じる。このプロセスを経ることで、一般的な広告にはない「客観的かつ、社会的信頼」という付加価値が与えられます。
情報が溢れ、消費者の目が肥えた今、「信頼の獲得」と「情報の質」の2つが、消費者の心を動かす鍵です。
パブリシティの圧倒的な費用対効果
私が長く身を置いてきた映画の宣伝の世界は、パブリシティの最前線です。
映画は元々引きの強い商材ですが、それゆえに求められる露出量も膨大で、もちろんその質も重要視されます。原作の力、キャストパワー、物語性、いまのトレンドと掛け合わせたネタや企画等で、パブリシティはいかにテレビやWebニュースなどの「フリー(無償)の露出」を獲得するかを軸に戦略を組み、広告はパブリシティやSNSでのリーチ層を拡張したり、そこでは獲得できない層をカバーすべくターゲティングしていきます。映画の世界ではパブリシティが最も費用対効果が高いメイン手法として根付いています。
この多角的な企画力を求められる映画業界で培われたメディアを動かすための「切り口」の設計や、社会の空気を読む力といったノウハウは、今や映画だけでなく、一般企業のブランディングやキャンペーンにおいても非常に有効な解決策となっています。
オフライン×オンラインで循環させる重要性
現代のパブリシティで最も重要なのは、オンラインとオフラインを切り離すのではなく、互いを「循環」させることです。

- オフライン(TVメディア): リーチが難しい受動的な層へ、圧倒的な認知とインパクトとともに信頼を広げる。広範な視聴者に「社会的な話題(世の中ゴト)」として伝達し、強固な社会的お墨付きを獲得する。
- オンライン(Webメディア): デジタルインサイトに基づきターゲット層を精緻にセグメントし、情報の多角的な深掘りと深いエンゲージメントを促す。能動的な検索行動と爆発的な「二次拡散」を誘発することで、最終的な行動変容へと繋げる。
例えば、先にWebメディアやSNSで話題化させ、その盛り上がりを「今、バズっているトレンド」という実績としてテレビ局へ売り込み、慎重なテレビメディアの取り上げを後押しする。逆に、テレビで認知に至った層が、能動的にWeb検索をしてニュース記事を読み、深い理解へと繋がっていく。
この「メディア・ループ」を戦略的に作り出すことで、宣伝のシナジー効果を最大化させることができます。
「オールメディア体制」に舵を切った背景
フラッグは元々デジタル領域に強い会社ですが、今年2月からオフラインPR(TV・紙媒体等)の専門チームを発足しました。今までは協力会社との連携で実現してきたものの、どうしても情報のタイムロスが発生してしまう場面が多々ありました。社内連携できる体制に切り替えることで、先に話したような「メディア・ループ」を鮮度を落とさず生み出し、一社で戦略を一気通貫させるのが今回の狙いです。
さらに、フラッグの強みとしているほかのデジタル領域(ソーシャルメディアマーケティング、デジタル広告、インフルエンサーマーケティング)と掛け合わせることで、より高度なマーケティング展開をクライアントに提供できることに、非常に価値を感じています。
さいごに:AIに置き換えられない価値
パブリシティは、決してAIには置き換えられない仕事だと考えています。
クライアントが伝えたい戦略やセールスポイントと、メディアが取り上げたいポイントは、往々にして異なります。その間に立ち、双方にとってのメリットを最大化させる着地点を探りながら企画に落とし込むには、「人と人」のコミュニケーションが必要不可欠です。そして何より、対象となる作品やプロダクトに対する「深い理解」「調整力」「熱量」「リスペクト」があるからこそ、メディアの方々の心は動き、質の高い露出へと繋がります。
フラッグは、単なる露出獲得の代行会社ではありません。
企画段階から「どうすればメディアに取り上げられる文脈になるか、その先の消費者の心に届く露出になるか」という視点を持ち、クライアントの課題解決に伴走するパートナーでありたいと考えています。この強力なオールメディア体制を武器に、デジタルとリアルの境界をなくした「情報の循環」「世の中ゴトの創出」をこれからも作り続けていきます。
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高田 道代
エンタメコンテンツマーケティング事業部管掌 執行役員
アパレル会社、広告制作会社を経て2008年10月にフラッグ入社。映画宣伝部署の立ち上げメンバーとしてオンラインパブリシティ、ソーシャルメディアマーケ、デジタル広告の経験とデジタルプロモーション部門のマネージャーを経て、2020年より執行役員に。2023年よりニューシネマワークショップ(NCW)の代表、[みせる]コースのディレクターも務める。


