FLAG

デジタルマーケに強いフラッグがアニメIPに出資する理由。―『神椿市建設中。』から始まる新たな挑戦―

はじめに

フラッグにとって初のアニメーション出資作品である『神椿市建設中。』が、2025年7月より放送・配信中です。今回のコラムでは『神椿市建設中。』から始まるフラッグのアニメ作品への投資について、ご紹介したいと思います。

『神椿市建設中。』とは?

『神椿市建設中。』は、株式会社THINKRが運営するクリエイティブスタジオ「KAMITSUBAKI STUDIO」のメディアミックスプロジェクトです。これまでにも各種ゲームや小説が発表されており、今回のアニメもその一環の作品です。
メディアミックスプロジェクト・・・ひとつの物語やキャラクターを、アニメ・ゲーム・小説・音楽など複数のメディアで展開し、さまざまな形で楽しめるようにする取り組みのこと

メインキャラクターの声優は、KAMITUBAKI STUDIOに所属する人気バーチャルアーティストである花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜が担当しています。当然ながら彼女たちが劇中歌も歌っています。
このためバーチャルアーティストのファン向けの作品と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。オリジナルストーリーや世界観には深みがあり、SFダークファンタジーとしての完成度も高く、多くのアニメファンに楽しんでいただける作品になっています。個人的には『魔法少女まどか☆マギカ』や『BanG Dream! Ave Mujica』が好きな方にはぜひご覧いただきたいです。

フラッグはどんな形でアニメ制作に関わっているのか?

本作はKAMITSUBAKI STUDIOを運営するTHINKRと、アニメーション製作大手のKADOKAWA、TBS、そしてフラッグの4社で製作委員会を組成しました。フラッグは主にSNSを活用したソーシャルメディアマーケティングなど、宣伝面を担当しています。

25年7月クールは『怪獣8号』『ダンダダン』『タコピーの原罪』『光が死んだ夏』など大型作品が多数市場投入されたほか、アニメ作品自体も非常に多く激戦クールとなりましたが、『神椿市建設中。』はTBS系列で全国放送され、Amazon Prime Videoやdアニメストアをはじめとした各種動画配信サービスでも配信中です。
また放送・配信に先立ち25年6月には、一部を再編集した先行版『神椿市建設中。魔女の娘 Witchling』が全国で劇場公開されました。放送・配信前に先行版を劇場上映する手法は、近年よく見られますが、この方法によって劇場公開時の宣伝効果を放送・配信開始時まで維持できるため、効率的なマーケティングが可能となります。
さらに海外では、アジアを除きCrunchyroll(クランチロール)で配信がスタートしており、アジア地域でも今後配信予定です。

世界で拡大する日本アニメ市場-出資を決めた理由-

海外における日本のアニメーション市場は、2014年から2023年までの10年間で5倍以上に成長しており、その傾向は現在も続いています。

この状況を受けて経済産業省はエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会を立ち上げ、25年6月に発表した中間とりまとめでは今後政府としても積極的な支援方針を打ち出しています。ゲームやマンガと並びアニメも全世界でますます受け入れられており、日本の中心的な輸出品へと成長していくことはもはや国策とも言えるでしょう。

このようなアニメ市場の成長と社会的な追い風、そして当社がこれまで培ってきたノウハウが相乗効果を生むと考え、アニメIPへの出資に踏み切りました。

さいごに

フラッグでも今後さらにアニメーション作品への積極的な投資を進めていく予定です。
これまでは主に宣伝・マーケティング面で関わることが多かったですが、今後は製作委員会への参加を通じて作品自体への出資も行っていく予定です。すでに約10本程度のアニメ作品への出資を決定しており、この本数も今後さらに増やしていく予定です。
また宣伝だけでなく商品化やイベントなど、アニメの二次利用分野でも新たなビジネスに取り組んでいく予定です。
『神椿市建設中。』を皮切りに本格的にスタートする、フラッグのアニメ関連ビジネスの今後にご期待ください。

出資作品に関するお問い合わせはこちらから

ライター

久保 浩章

株式会社フラッグ 代表取締役
東京大学経済学部在学中の2001年にフラッグを創業し、04年1月に株式会社化。映画をはじめ、エンタメ業界のデジタルマーケティング支援を中心に手掛ける。

記事一覧


このコラムを読んだ人はこのコラムも読んでいます

フラッグについてもっと知りたい方へ