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映画エンタメのプロが語る!2025年上半期に注目したデジタルプロモーション振り返り

概要

フラッグが運営する、映画を「つくる人」と「みせる人」を養成する映画学校「ニューシネマワークショップ」(以下NCW)卒業生で、現在は映画エンタメのプロであるフラッグ社員が、2025年上半期に注目した映画のデジタルプロモーションについて解説。

パブリシティ担当、ソーシャル担当、デジタル広告担当それぞれの視点でマーケティングの裏側を紐解いていきます。

※弊社事例ではないものも含まれています。

目次

映画『マインクラフト/ザ・ムービー』

ターゲットに刺さるキャスティングをネット上で話題化

オンラインパブリシティ担当

(引用:映画『マインクラフト/ザ・ムービー』公式サイト

本作では、ワーナー・ブラザース映画さんが実力派声優、ゲームファン向けタレント、人気ゲーム実況者という三方向からキャスティングを行い、映画ファン・ゲームファン・キッズ&ファミリー層と狙ったターゲットにそれぞれアプローチしました。通常、洋画の吹き替え発表はアンチコメントも出やすいですが、今回は作品の自由な世界観と多様なキャスティングがマッチし、SNSでも好意的な声が多く見られました。

私は本作のオンラインパブリシティに携わらせていただき、この情報解禁も担当したのですが、情報を届ける際は映画専門メディアだけでなく、ゲーム系やYouTuber関連などターゲットごとに幅広い媒体選定を意識しました。その結果、普段映画情報に接点が少ない層にも認知が広がり、ネット上で多方面からの話題化を後押しすることができました。

NCWでは「作品の強み・弱みを洗い出してターゲット設定する、それにあった媒体を見極める」という宣伝の基礎を学びましたが、今回の施策もまさに“狙ったターゲットにきちんと届く”ことの重要性を実感できるものでした。

映画『教皇選挙』

仕掛け人の“生の言葉”が広げたロングランヒット

オンラインパブリシティ担当

興行収入10億円を突破した『教皇選挙』ですが、映画ナタリーに掲載されたキノフィルムズ宣伝部・赤羽根英之さんへのインタビュー記事が印象に残りました(参照:映画ナタリー)。このインタビューは、映画宣伝ウォッチャーの「ビニールタッキー」さんがXで「いい記事」と絶賛していたことで知り、私自身も読んで深く共感しました。

宣伝担当者の「映画ファンの母数が増えるよう努力する。それが、宣伝を行ううえで忘れてはいけないことなんじゃないかなと思います。」という言葉は、宣伝に携わる立場として背筋が伸びました。内輪ノリに陥りがちな洋画宣伝ですが、こうした“血の通った”インタビューは劇場に足を運ばない層にも熱量を届ける強い武器だと感じます。特に本記事は、公開中に実際のコンクラーベ(次期ローマ教皇選出)が行われたタイミングで発信されたため、世間の関心が高いタイミングで映画への注目を集める役割も果たしていました。

NCWでは、「オーソドックスな宣伝手法だけでなく、世の中の流れを読みながら作品ごとの個性を活かした戦略を練ること」が重要だと学びました。今回の記事もまさにその一例で、“世間全体を味方につける”ための仕掛けとして非常に勉強になりました。

映画『#真相をお話しします』

主演キャストの強みを最大化した“作品単体YouTube戦略”

ソーシャルメディア担当

(引用:『#真相の部屋』YouTubeチャンネル

映画単体で公式YouTubeアカウントを立ち上げた点が特に印象的でした。配給会社のアカウントではなく、作品ごとにチャンネルを作るのは非常に珍しく、業界的にも実験的な試みでしたが、結果的に約27万人ものチャンネル登録者数を獲得するなど大きな成功につながっています。

映画宣伝は期間が短く、作品単体でYouTubeファンを獲得するのは難しいのですが、この施策がうまくいった理由は主演の「大森元貴さん」と「菊池風磨さん」という若年層にコアファンが多いキャストの強みを最大限活かした点にあると感じます。YouTubeでは2人の掛け合いやオフショット風景など、ファンが欲しているコンテンツが豊富に用意されていて、かつその内容が作品文脈に沿って綿密に練られている、それが成果につながった印象です。

NCWでは「作品のセールスポイント整理」や「ターゲット視点で企画を考えること」を学びましたが、この事例もまさにその実践例でした。自分もいつかこうしたチャレンジングな施策に携わってみたいです。

映画『近畿地方のある場所について』

違和感で“巻き込む”縦読み×QRコード仕掛け投稿

ソーシャルメディア担当

(引用:映画『近畿地方のある場所について』公式アカウント

本作の公開日発表時のX投稿が印象的でした。後ろ姿などでキャスト発表を匂わせる投稿はよく見かけますが、本作では配給であるワーナー・ブラザース映画さんがキャストの顔部分に大胆にQRコードを貼り付けるという斬新なクリエイティブを制作され、まず素材自体に強いインパクトがありました。さらにテキストには一見違和感があり、よく読むと縦読みになっているという仕掛けも。この解禁含め、作品をどういった文脈でSNS上で発信し話題化していくかのプランニングやライティングなどSNS運用を、フラッグが担当しています。

実際、この投稿は2.3万いいねを獲得し、多くのユーザーから「キャストは誰?」「QRの中身が怖い!」など盛り上がりを生んでいました。本作ならではのテーマや世界観とも非常にマッチしたプロモーションだったと思います。

NCWでは「SNSはユーザーを巻き込む空間」であることや、「ターゲットに自分ゴト化してもらう戦略」の重要性を学びましたが、この事例はまさにそれを体現しています。違和感や仕掛けによってユーザーが注目したくなるような、SNSならではの施策でした。

実写映画『リロ&スティッチ』

Pinterestの世界観と連動した“飛び出すスティッチ”広告

デジタル広告担当

(参考:実写映画『リロ&スティッチ』公式サイト

まるでPinterestの画面からスティッチが飛び出してきたような遊び心あふれるクリエイティブで、キャラクターの可愛さやいたずら好きな性格が最大限に引き立っている広告でした。

広告に対してネガティブな印象を持つユーザーが多い中でも、「見かけると思わず嬉しくなる」と感じさせてくれる点が素晴らしいと思いました。媒体であるPinterestのUIやユーザー層(ビジュアル重視・若年層女性中心)をしっかり意識し、キャラクター好きな人たちにしっかり刺さる設計になっていると感じます。

NCWでは、「いつ」「どこで」「誰に」「何を伝えるか」を徹底的に考えることの重要性を学びましたが、この事例もまさにその基本の戦略設計がされていると感じます。媒体ごとの特性をしっかりと理解し、それぞれに合わせた表現で最大限の効果を目指した最適な広告プランニングを提案していきたいです。

まとめ

2025年上半期に注目したデジタルプロモーションについて、オンラインパブリシティ担当、ソーシャルメディア担当、デジタル広告担当の視点で、それぞれ解説しました。

作品のプロモーションや、エンタメの文脈を活用した施策をお考えでしたら、ぜひフラッグにお気軽にご相談ください。小規模なキャンペーンから総合的なデジタルプロモーションまで、幅広くサポートいたします!

映画エンタメ業界で圧倒的実績を誇る映画学校!「ニューシネマワークショップ」について

フラッグでは、映画を「つくる人」と「みせる人」を養成する映画学校「ニューシネマワークショップ」を運営しています。

監督・脚本家を目指す[つくる]コースでは、『愛がなんだ』の今泉力哉監督や「silent」脚本家・生方美久さんなどのクリエイターを多数輩出。

映画業界への就職を目指す[みせる]コースでは、600人以上の卒業生が映画配給会社や宣伝会社を中心に、興行やメディアなど様々な分野に就職し、多方面から日本の映画業界を支えています。

現在、2025年10月コースのオンライン説明会を開催しております。説明会では実際の講師によるミニレクチャーの時間も設けておりますので、ぜひお気軽にお申し込みください。

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