多くの人の冒険心をかきたて、人生に影響を与え続ける
サーフムービーの原点にして最高傑作
未知の世界へ冒険の旅に出かけたくなる映画体験!
サーフトリップという言葉を生んだ、終わらない夏と完璧な波を求めた旅の物語
4Kリマスターにより、世界中の風景と美しい波が鮮明にスクリーンを覆いつくす

1966年、画期的なサーフフィルムが全米の主要都市で劇場公開された。それが『エンドレス・サマー』(The Endless Summer)だ。3人のカリフォルニアボーイが、たった1台のカメラとサーフボードを持って、最高の波を探して世界一周の旅に出る――そんな輝かしい青春の日々の記録をメインにした約90分のドキュメンタリー。このフィルムがサーフィン映画の金字塔として、永遠のクラシックとして、歴史的に愛されることになるとは、きっと若き当事者たちは夢にも思わなかっただろう。

 

偉業を成し遂げた3人の青年とは、監督と撮影を同時に務めた撮影当時26歳のブルース・ブラウン(1937年生まれ)。そして“W主演”となったリアルサーファー、21歳のマイク・ヒンソン(1942年生まれ)と、高校を卒業したばかりだった18歳のロバート・オーガスト(1945年生まれ)。1963年11月、ロサンゼルス空港から旅立った3人は、大西洋を渡って西アフリカのセネガルへ、そしてガーナの漁村、ナイジェリアから赤道を越えて南アフリカのケープタウンとダーバン、セントフランシス岬を経て、オーストラリア、ニュージーランド、タヒチ、ハワイをめぐった。

ヒンソンによると、当時のサーフフィルムの作り手はただ単純にサーフィンだけを見せる作品を撮っていたが、唯一ブラウンは2人から3人のサーファーを主人公に立て、ストーリーのある映画を作っていた。『エンドレス・サマー』もその冴えた独自性の延長にあるわけだ。また映画のタイトル部分のサンセットからイメージされた、ジョン・ヴァン・ハマーズヴェルド(1941年生まれ)によるアイコニックなポスターデザインは、彼が『SURFER』誌のアートディレクターを務めていた頃、ブラウンから依頼されて生まれたものである。

こうして社会現象と呼べるほどの人気を獲得した『エンドレス・サマー』が、後世に及ぼした影響力の凄さについては、まさしく枚挙にいとまがない。最も顕著なのは「サーフトリップ」という概念を誕生させたこと。それは文字通りサーフィンのため、良質の波を求めて世界のスポットを旅する行為を指すが、当時としては斬新な発想だった。『エンドレス・サマー』では米国の白人青年たちが、南アフリカのセントフランシス岬でパーフェクト・ウェイブ(完璧な波)と出会い、また海岸線に広がるサンゴ礁のせいで波が来ないと噂されていたタヒチでも、予想に反して素敵なサーフスポットを発見する。こうした世界の広さを知る彼らの旅は、決してサーファーだけでなく、多くの観客の冒険心や未知への好奇心を刺激した。さらにまだサーフィン文化が到来していないセネガルやガーナでの地元の人々(特に子供たち)との交流など、文化人類学的な側面もあるロードムービーとして楽しむことができる。

おそらくドキュメンタリー/劇映画を問わず、1966年以降のサーフィンを扱った映画で、『エンドレス・サマー』の影響を受けていない作品は皆無と言っていい。映画史にひとつの確かな革新をもたらしたマスターピースであり、かつて3人の若者が映像に刻んだ雄大な冒険のDNAは、あらゆる場所に広がっている。そしてこの原点のフィルムを再生すれば、あの瑞々しい夏がよみがえる。

アメリカでこの映画は米国議会図書館、ニューヨーク近代美術館、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。今回、初めて4Kデジタルリマスター化され、マイクとロバートが旅した世界中の美しい波が再びスクリーンに甦る。

森直人(映画評論家)

製作・監督・撮影・編集・ナレーション:ブルース・ブラウン(Bruce Brown)
 (1937/12/1-2017/12/10)

アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。
1964年にマイク・ハインソン、ロバート・オーガストとともに完璧な波を求めて世界を巡るドキュメンタリー『エンドレス・サマー』の製作・監督・撮影・編集・ナレーションを務め、世界的なヒットとなる。1971年にはオートバイ・レースの魅力に焦点を当てたドキュメンタリー『栄光のライダー』でアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。息子のデイナ・ブラウンが監督したサーフドキュメンタリー映画『ステップ・イントゥ・リキッド』(2003)や、モーターサイクルドキュメンタリー『オン・エニー・サンデー ザ・ネクストチャプター』(2014)の製作総指揮も務めた。

ポスターデザイン:ジョン・ヴァン・ハマーズヴェルド(John Van Hamersveld)

1941年9月1日、アメリカ・メリーランド州生まれ。
10代からカリフォルニアで波乗りを始める。Art Center College of Designでアートのテクニックを学び、在学中に数々のサーフアートを⼿掛け、当時のカリフォルニアサーファーのバイブルでもあるSurfer Magazineのデザインを担う、後世のサーフアートに強く影響を与えた重要⼈物。ビートルズや、ジミ・ヘンドリックス、ボブ・ディラン、ジェファーソンエアプレイン、KISSなど、60~70年代を代表する数多くのロックバンドのアルバムジャケットや、ポスターをデザインし、時代を象徴するポップアートを次々と⽣み出した。1984年ロサンゼルスオリンピックの公式ポスターも手掛けた米⻄海岸ポップアートの巨匠。

音楽:ザ・サンダルズ

完璧な波を求めて世界中を旅する」というライフ・スタイルを描いて当時若者から絶大な支持を得た『エンドレス・サマー』。 そのサウンドトラックはカリフォルニアのサーフ・バンド、ザ・サンダルズによって制作された。いわゆるノリノリのサーフ・インストというよりは、アルコールでも飲みながらレイドバックして聴きたいアコースティック主体のサーフ・サウンドで、ジャック・ニッチェのロンリー・サーファーの世界観と通じる名盤。

マイク・ヒンソン (Mike Hynson)

1942年生まれ。
世界のレジェンド・サーファー、レジェンド・シェーパー達から”マスター”と崇められている巨匠。まだフォーム材のサーフボードが存在しない1950年代に、重いバルサボードを担ぎ、ラホイヤでサーフィンを始める。60年代には優れたサーファー・シェーパーとして頭角を現す。1964年サーフムービー『エンドレス・サマー』では主役を務めた。60年代後半には軟派なサーフィン・カルチャーを否定し、スキップ・フライ、デビット・ヌィーバ、ビル・ハミルトン、ハービー・フレッチャーらを弟子として従え”ソウルサーフィン”と呼ばれる新たなムーブメントを起こし、1968年から始まるショートボード・レヴォリューションの核となった。当時、チームは各地のコンテストを総ナメにし、”レッドフィンギャング”の異名で恐れられると同時に、最強のハードコア集団としてリスペクトされた。現代サーフボードの生みの親。

ロバート・オーガスト(Robert August)

1945年6月6日、カリフォルニア州シールビーチ生まれ。
父親はサーファーであり、ライフガードをしていたオーラル“ブラッキー”オーガスト。その影響で6歳から本格的にサーフィンを始め、父親と親交のあった映画監督ブルース・ブラウンの映画に12歳で出演し、18歳で『エンドレス・サマー』に出演した。1967年からジェイコブスサーフボードでシェープを開始。 1994年に『エンドレス・サマーⅡ』、2003年にはデイナ・ブラウンが監督した『ステップ・イントゥ・リキッド』出演。現在も数は少なくなったがシェープを続け、年の半分をコスタリカで過ごしている。

 製作・監督・撮影・編集・ナレーション:ブルース・ブラウン
音楽:ザ・サンダルズ
キャスト:マイク・ヒンソン、ロバート・オーガスト 
1964年|アメリカ|カラー|DCP|5.1ch|90分|原題:THE ENDLESS SUMMER|字幕翻訳:小泉真祐|G
鈴正・フラッグ共同配給 宣伝:フリークスムービー

※順不同/敬称略

「エンドレス・サマー」この映画をはじめて観たのはいつだったろう? サーフィンにどっぷりハマっていた20代の僕は、この映画でそれまでは雑誌でしか見られなかったサーフィンの世界に衝撃を受けたのを覚えています。 今でもハッキリと覚えているシーンは、サーファーなら誰でも憧れるような南アフリカのパーフェクトウエーブにマイクとロバートが優雅に2人だけでサーフィンしている映像でした。 今回、改めて、デジタルリマスター化され、しかも劇場で観られるとあっては、この素晴らしい機会に気分は60年代に戻って楽しみたいですね。
—横山泰介 (写真家)

カラー九十分のこの傑作を、ぼくは何度も観た。パーフェクトな波を求めて夏を追いかけるというサーファーの夢は、この映画が製作されてから経過した時間に、なんら影響されてはいない。映画『エンドレス・サマー』がひとつの作品としての生命を失っていないことは確かだ。
—片岡義男 (「一九六二年、限りなき夏」より要約)

あらゆるサーフ映画は、この1本のドキュメンタリー作品からスタートした。いい波を探して世界中を旅する。永遠に夏を求めて生きていく。 「ENDLESS SUMMER」は、まさにサーファーの心を映し出す。 1960年代から、サーファーの心は変わらない。 サーフ映画の原点でもある。
—ジョージ・カックル (DJ/writer)

わたしにサーフィンの素晴らしさを教えてくれ、人生を導いてくれた作品。 60年経った今も色褪せることなく、サーフィン映画の最高峰として君臨し続けている。 “エンドレス・サマー”という、センチメンタルなタイトルに心が震える。
—林芳史 (SALT...編集長)

1964。記録する、ひたすら瞬間を記録。 かっこよくそして今を生きていた3人の大冒険の世界を一緒に旅しましょう。 オレはこれで人生のラインをデザインをセンスをカラーリングを学びました。そしてナレーションさせてもらい夢叶う。
—マーキー (ラジオDJ)

エンドレス・サマー。当時26歳のブルース・ブラウンはたったひと言ですべてを言い尽くした。タイトル、作品テーマ、青春の香り、サーファーのロマン。サーフィン史上、これ以上に甘美なフレーズを僕は知らない。
—戸井田雄一 (Blue. 編集長)

1980年、僕は東京のサーフショップの息子としてこの世に生を受けました。 父は昔、小さな映画館で『エンドレス・サマー』を観た日のことをよく語ってくれました。
その物語は、父から子へと受け継がれるサーフィンの伝説です。
そして今、このリマスター版を通じて再び蘇ります。
永遠に続く夏の海を、僕も追い求めながら。
—Micro (Def Tech)

『エンドレス・サマー』は、冒険と自由の精神を見事に捉えた非常に魅力的な作品。
ミュージシャンとして、サーフィンと音楽の繋がりにはとてもインスパイアされます。
どちらも【流れ】と【リズム】の感覚を体現しているから。
このデジタルリマスター版がどのように人々に受け入れられるか、とても楽しみです!
—Shen (Def Tech)

ただただ息をのむ!
—Linda Stasi(New York Post)

視覚的にも惹き込まれる!
—Robert Alden(New York Times)

僕たちを非日常の世界へと連れていってくれる傑作だ!
—Ian Buckwalter(NPR)

持ち運べる機材だけで撮影したはずなのに、彼が撮影した美しい写真を見ると、
ハリウッドはもっと頑張るべきではないかと思わされる。
—Roger Ebert(Chicago Sun-Times)

ワクワクする楽しさだ!とろけるような美しさと興奮の連続!
—N.Y. Times

息をのみ、感動し、ひたすら興奮する。
—Newsweek

ゾクゾクと興奮がスクリーンを埋め尽くし、観る者に息をのませる。
—Time Magazine

完璧な映画だ
—The New Yorker

完全にやられた!これは傑作だ!
—Cue Magazine

素晴らしい!完璧な映画、もはや偉大だ!
—The New Yorker

この傑作を見逃してはならない!
—Harper’s Bazaar

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