ぶっちゃけ、ショートドラマってどう思う? テレビドラマプロデューサーが本音を語る!

概要
ショートドラマ市場は、TikTokやYouTube Shortsなど短尺ショート動画の普及とともに急速に拡大しています。最近は、多くの企業がショートドラマをマーケティングに活用し始めており、短時間で視聴者の心をつかみ、自然にブランドや商品の魅力を伝えられるのが強みです。
本コラムでは、テレビドラマのプロデューサーが独自の視点でショートドラマについてプロモーションの観点で掘り下げていきます。
はじめに‐私について‐
青野 華生子と申します。テレビ東京での勤務を経て、2022年よりフラッグに所属し、ドラマプロデューサーとして活動しています。これまでに、清野とおる原作「東京怪奇酒」や、杉野遥亮主演・ギャラクシー賞受賞作「直ちゃんは小学三年生」、その続編「直ちゃんは小学五年生」、福島12市町村を舞台にした本郷奏多×大沢一菜主演「姪のメイ」、大友康平・黒木華・桜井ユキ・本田響矢らが出演したオムニバスドラマ「風のふく島」など、多様な作品を手がけてきました。
また、マンガ「カリカチュア・カウンセラー」の原案・プロデュースや、バラエティ番組「いとうせいこう×倉本美津留 ワラボ」のプロデュースなど、ジャンルを問わず幅広く取り組んでいます。



ショートドラマ市場が急速に成長している要因
ショートドラマ市場が急速に成長している要因としてあげられるのは、現代の視聴者のライフスタイル、プラットフォームの変化、コンテンツの質の向上が複合的に作用した結果と考えており、この成長は今後も続くと予測されます。

ぶっちゃけショートドラマに思うこと
ドラマには恋愛、家族、友情といった普遍的なテーマが描かれ、「感動」という武器があります。
そして、ショートドラマでの商品PRは、広告とエンタメの境界を曖昧にする力を持っているため、「いま、この瞬間」の感情に響くコンテンツを求めるZ世代やミレニアル世代には訴求効果が高く、SNSでのシェアから話題化が期待できます。
そのため若年層にリーチする手段として、ショートドラマは最適といえます。
ただ、(これはあくまで主観ですが)最近は「ショートドラマ、流行っているんでしょ〜?」という軽いノリで作られたであろうコンテンツも増えている気がしていて、プロモーションにおいてショートドラマという「手段」が「目的」化しているケースも多いように思います。あくまで、目的はブランディングで、一過性ではなく「だれかの心に残る」ことを目指したクオリティへのこだわりがもう少しあっても良いのではと思うのです。
とはいえ、予算やスケジュールとの勝負にもなってきてしまうので、制作側としてもむずかしい問題でもあるのですが、もし「他社より抜きん出たい」とか「クオリティ高いもの作りたい」というお考えがあれば、CM制作やSNSの知識に偏らず、物語づくりのプロも制作チームに入れていただくと良いのではと僭越ながら思います。
また、ショートドラマのストーリーの既視感、マンネリズムも否めないと思うのですが、みなさんはご覧になっていていかがでしょうか? もしかしたら「それのなにが悪いのか」と思われる方もたくさんいるのかなと思います。
これは「2010年代までに慣れ親しんできた従来型ドラマ」的な視聴の仕方(鑑賞)と、「情報収集」の観点での視聴(消費)のちがいで意見が分かれてくるところかなと思います。後者であればむしろ“既視感のあるような内容”=“わかりやすい”ほうが頭を使わずに観れるので好まれる傾向があるのかなと。「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形」(光文社新書)という本で、このあたりよく整理されているので、映画・ドラマと若者たちの動態についてご興味がある方は読んでみても良いかもしれません。
■視聴の違いについて

私がいいなと思ったショートドラマプロモーション事例
わたしがいいなと思うショートドラマの他社事例を挙げさせていただきます。
【北欧暮らしの家具店】 「ひとりごとエプロン」
ライフスタイル系は、ドラマとの相性がとても良く、「自分もこういう暮らしをしてみたい」という気持ちを引き出しやすいと思います。
そして、やはり王道の料理、飯テロものであることは、たくさんのひとに好まれるポイントかなと思います。
“観てたのしい”は映像の醍醐味なので、美術、小道具、衣裳、キャストの美しさは、女心をくすぐりますし、YouTubeが著作権団体と包括契約しているので、邦楽を挿入歌として使えるのも強いなと思いました。ドラマは総合芸術なんですよね。
また、演者1名でナレーションで進行していること、スタッフリストなどを見ると、限られた予算で制作されたのだろうと感じますが、きっと視聴者はふつうに観ていたらそんなことは気にならないはず。すべてに工夫が凝らされていて、しっかり「フィットする暮らし、つくろう。」の思いが伝わってきてとても素敵です。
また、ドラマの例ではないのですが、たとえば、わたしがいま最も好感度高く感じている企業といえば、AI食事管理アプリ「あすけん」さんです。女性の痩せ信仰が加速するなか、BMI18.5以下の目標体重は設定できないシステムになっているという投稿、その美学にうっとりしました。これは企業がXで発信してくれていなければ知り得なかった「信念」なので「投稿してくれてありがとう…」という気持ちになりました。
あすけんさんのように、思いを伝える行為は、とてもドラマ的だと思います。ショートドラマでなくても、真摯な思いを伝えて、豊かな感情を呼び起こす方法もあるのだなと思います。
私が「物語作り」で大事にしていること
我ながらいつも「クライアントの思いを叶えつつも、いまの社会に必要なメッセージを伝えようと熱心だな」と思います。自画自賛です。
まもなく撮影を控えている来年放送の案件でも、日夜その業界の問題点、人々の意見などを研究しているので、先日もクライアントに「そんな情報どこで入手したの?」と言われました。
よくあるのが、クライアント側がアピールしたいポイントと、視聴者がおそらく興味を持つであろうポイントがズレていることです。ある意味、専門家になってしまうと客観的な視点が失われてしまうのかなと、それは致し方ないことだなと思いつつ、やはり観るひとがあってのドラマなので、エゴの押しつけになりすぎないように調整させていただくことも多いです。
NHK連続テレビ小説「あまちゃん」は、地元のひとたちは当たり前にしか思っていなかった海女文化をおもしろいと思って宮藤さんが題材にした、というのを昔なにかの記事で読んだ覚えがあります。そういうふうに、内側のひとでは気づけない魅力みたいなのを引き出すのも役目だと考えています。
もし、具体的なイメージが沸かない場合でも、少しでも興味があればぜひいちどご相談いただけたら幸いです。ドラマのアイデアをお出しします。
DoramaKaのご紹介
『DoramaKa』は、経験豊富なドラマ制作スタッフ(映像クリエイター)✖️ソーシャルメディアを熟知したデジタルプロモーションスタッフ、双方を有するフラッグがスタートさせたドラマ制作・配信サービスです。
圧倒的な認知効果が期待できる地上波テレビやサブスクリプション型配信プラットフォームを活用したドラマ制作と、若年層に適格にアプローチできるSNSを用いたショートドラマの制作の2形式でのご提供が可能です。

「ギャラクシー賞」受賞のドラマ作品を企画・プロデュースしたスタッフや、広告賞受賞作品を手掛けたスタッフが対応するため、クリエイティブ力の高さもDoramaKaの魅力です。
クライアントの目標と予算に合わせ、最適な媒体を選定し、商品やブランドメッセージを効果的に伝えられる企画をご提案しますので、是非お気軽にお問い合わせください!
まとめ
現代ニーズに合ったショートドラマですが、すでにコンテンツ量が膨大な上に、もうすぐAIによる作品も増加してくると思います。わたしはAIは適度に活用していったほうが良いと思う派ではありますが、自分がつくる物語は、分析的でパターン化できないものを生み出していきたいと思っています。
ドラマで企業、商品の思いを伝えたい! と思われる方は、ぜひお気軽にお問い合わせいただけると幸いです。
ライター
青野 華生子
株式会社フラッグ クリエイティブソリューション事業部 第4コンテンツ制作部
テレビ東京での勤務を経て、2022年よりフラッグに所属。「東京怪奇酒」「直ちゃんは小学三年生」「姪のメイ」など多彩なドラマ作品を手がけるほか、マンガ原案やバラエティ番組のプロデュース、プロモーション映像の企画・プロデュースなど幅広く活動している。
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