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Anime Expo2025現地レポート!北米アニメ市場と業界最新トレンドをエンタメ企業社長が語る

概要

ロサンゼルスで毎年7月上旬に開催されるAnime Expo(アニメエキスポ、AX)に、今年も参加してきました!このコラムではAX2025の最新情報と、LAの最新テクノロジー体験情報をお届けできればと思います。

なお「Anime Expoって何?」という方は、こちらのコラムをぜひご一読ください。

目次

Anime Expo(AX)2025の現場から見るアニメ市場

日本企業の出展状況とIPビジネスの広がり

今年も多くの日本のアニメ関連企業がブースを出展していました。一部入れ替わりはあったものの、出展企業の顔ぶれに大きな変化はありませんでした。このことからも海外、特に北米市場での成長を図る企業にとって、AXが最大かつ最高のマーケティングチャンスとして認識されていることは明らかです。

アニメ「ワンパンマン」が10周年と第3期のリリースを記念してAXに出展していました!

アニメ作品自体のプロモーションに止まらず、ゲーム(特にカードゲーム)、クレーンゲームのプライズ、キャラクターなどのブースも多々あり、アニメを軸としてIP産業の広がりと成長も引き続き感じられます。

日本からAXを訪れる業界人は今年も多く、行きの飛行機では顔見知りに何人も会いました。

情報発信イベントとして定着したAX

情報発信の場としてのAXの活用は、すっかり定着しました。新作の製作発表や声優等の情報解禁をAX合わせで行うことで、北米だけでなく全世界向けに情報を発信するというやり方が一般化しました。世界中の多くのアニメファンが注目するイベントで情報を発信することによって、ソーシャルメディアでの話題化を図り、グローバルに作品認知の最大化とロイヤルティの向上を狙っています。

帰国時の機内でマンガを読んでいたところCAさんに「Anime Expoに行かれてたんですか?NHKのニュースで見ました」と声をかけられました。アニメにそれほど詳しくない人たちへの訴求力も少しずつ上がって来ているようです。

来場者やマーケットの動向とコミュニティ多様化

来場者動向から見る市場トレンド

AX初日の7/3(木)は平日だったため来場者も少なめでしたが、独立記念日で祝日となった2日目からは例年のようにコスプレをした来場者が会場に大勢押しかけていました。会期中にロサンゼルスで政治デモの実施も噂されたため、その動向には気を配っていたのですが、幸い大きな影響はありませんでした。

来場者を見ていると、今年のコスプレは新作の劇場公開を控えた「鬼滅の刃」が若干増えた印象でしたが、例年以上に作品は分散傾向にあるように感じました。好みの作品の多様化はマーケットの拡大を意味し、ポジティブな傾向と捉えています。

「薬屋のひとりごと」の猫猫、「呪術廻戦」の五条悟など、日本でも人気のキャラクターのコスプレも。

日米クリエイター文化比較

Artist Alleyと呼ばれる、いわゆる同人コーナーでは、多くのクリエイター達が自身の作品を販売していました。日本の同人文化との違いは、販売物の多くが1点もののイラストであることです。日本では漫画としての同人誌の販売がメインですが、ここはカルチャーの違いが明確です。

ちなみに18禁コーナーもあります。日本の同人誌がたくさん販売されていましたが、それ以外はやはりイラストの販売が多く、また絵柄も日本でウケるものとはずいぶんと異なり、お国柄が出ているなあという印象でした。

(詳しい説明は省きますので、興味がある方はAXで実際に足を運んでみてください…!)

業界人との交流、アニメ市場の今後

会期中にはKADOKAWA主催のアニメ業界人パーティーも行われました。今年は1,000人以上が参加した模様で、名刺交換が活発に行われていました。ミーティングやディナーをした方々とは「KADOKAWAさんのパーティーでまた!」が別れる際の挨拶になるほど、業界人みんなが参加するパーティーです。このような有意義な会を開催していただけるのはとてもありがたいことです。

このように業界人との交流ができる所も、リアルイベントの醍醐味です。

海外での日本アニメ最大イベントとしての地位を確立したAXですが、来年以降もその勢いは止まるところを知らないと思われます。アメリカでの日本アニメの状況をキャッチアップするためにも、今後も毎年参加したいと思います。

2025年も収穫の多いAnime Expoでした。記念に超大型巨人と一枚!

※おまけ

ロサンゼルスで体験した最新テクノロジー情報を2つお届けできればと思います。


自動運転タクシー「Waymo (ウェイモ)」

まずは自動運転タクシーです。
ロサンゼルスでは完全自動運転のWaymoが昨年からサービスローンチされており、さっそく乗ってみました。

専用アプリを使ってUberと同様に迎車すると、無人の車が迎えに来ます。運転はベテランのタクシードライバー並に丁寧かつ車線変更もそれなりの頻度で行い、まったくストレスを感じないドライビングでした。

料金は基本はUberよりも低めの設定とのことで、混み合っている時間帯ではUberよりも高くなることもありましたが、気になるほどの価格差ではありませんでした。

想像以上の運転品質で不安を感じることもなく快適でした。なお今年4月からタクシーアプリのGOとタクシー会社の日本交通と提携し、Waymoの東京での導入にむけてデータ収集を開始したとのことです。これは非常に楽しみです!

没入型エンターテイメント施設「Cosm(コズム)」

次は新しい映像施設です。
日本でもIMAXやスクリーンXなど、映画館のスクリーンの巨大化・多面化が進んでいますが、Cosmというこちらの施設はより大きなスクリーンを備えた映像施設です。

メインのコンテンツはスポーツ観戦とのことですが、シルク・ドゥ・ソレイユの舞台やCosm用に再編集された『マトリックス』も上映されています。ワーナー・ブラザースはComsと提携し、今後継続的にコンテンツを提供していくと発表していますので、『スーパーマン』や『マッドマックス』『ファンタスティック・ビースト』などがCosmで見られる日も近いかもしれません。

ラスベガスのSphereのような360度全面スクリーンのイマーシブ体験ではなく、食事をしながらスポーツや映画を大きな画面で没入感を持って観られるという、カジュアルな使い方が合っていると感じました。

ライター

久保 浩章

株式会社フラッグ 代表取締役
東京大学経済学部在学中の2001年にフラッグを創業し、04年1月に株式会社化。映画をはじめ、エンタメ業界のデジタルマーケティング支援を中心に手掛ける。

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